coconin’s blog

皆様お馴染みの人参について、その栄養やレシピを掘り下げます。

人参の色の不思議(その2)

人参は元来、紫、黄色、白などの色の作物であったのが、品種改良の結果…

オレンジ色になっていったということがわかりました。

ではそのオレンジ色は、何者なのでしょう?

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人参堀り

土の下で大きくなるのに、色鮮やかなオレンジ色。この人参のオレンジ色は、カロテノイド色素と呼ばれるものです。

 

そのカロテノイド色素の中の「β-カロテン」という成分を多く含んでいるため、鮮やかなオレンジ色になるんだそう。人参=β-カロテン。よく聞く栄養素ですが、β-カロテンとは天然色素の一種だったんですね。

 

スーパーで見る人参には、年中おいてあるオレンジ系の西洋人参と、お正月近くなると赤色系の東洋人参も見かけます。スーパーではあまり見ない、原種に近い紫色系の人参もあります。カラフル人参として、数種類一緒に販売されていることもあります。色が異なる他の色の人参には、どんな栄養が含まれているのでしょうか?

 

東洋人参といわれる赤い色をした人参、例えば高麗人参金時人参、京くれない(リコピン人参)などは、β-カロテンも含んでいますが、それ以上に赤色の天然色素「リコピン」を多く含んでいます。リコピンは抗酸化作用があると言われています。中には、リコピンを含んでいると有名なトマトよりも多く含んでいる人参もあります。

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リコピン人参

色=色素=栄養素なのは一緒なんですね。

そして、あまりスーパーで見ることはない希少な品種、原種に近いといわれる紫色をした人参、黒人参・紫人参といわれる人参は、色味がまったく違います。β-カロテンやリコピンではなく、ポリフェノールの一種「アントシアニン」を多く含んでいます。アントシアニンはブルーベリーで有名ですね。

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黒人参

 

人参は、その独特な色ごとに天然色素・栄養素を持っています。

β-カロテンも、リコピンも、アントシアニンも、健康に効果のある栄養素として有名ですね。色味も楽しく、栄養素も摂れる♪ いろいろな人参を食べたいものです。

 

カラフル人参

https://eu-ki.jp/shopbrand/ct80

 

参考文献

独立行政法人農畜産業振興機構 にんじん

JAグループ ニンジン

 

人参の色の不思議(その1)

人参は土の中で育ちます。まだ若い人参の葉はてんぷらなどにして食することもありますが、主に食しているのは、根のオレンジ部分。

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人参堀り
人参の他、土の中で育つ「根菜」といえば、ジャガイモ、大根、カブ、ネギ。
 
根菜はどれも白っぽいものが多いですね。光も当たらないし、白っぽいのはなるほど、納得です。
 
では、なぜ人参は鮮やかなオレンジ色になるのでしょうか?不思議です。そこで、今日は人参の色の不思議に迫ります。
 

「にんじんいろ」という色

「人参 色」と調べてみると…なんと、人参色(にんじんいろ)という色を発見しました!これは初耳。
 

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F47A44
 
#F47A44というコードで、オレンジ色よりもやや濃い。赤みがかったオレンジ色。まさに人参と聞いてイメージをする「にんじんいろ」です。どちらかというと夏の人参よりは、冬の人参の色のイメージですね。
 
もし、今まさにキャンパスで人参を描きたいのに、この「にんじん色」がない!という方に朗報です。「にんじんいろ」を混ぜて作るには、絵の具や色鉛筆で「ショッキングピンク」と「レモンイエロー」を混ぜると作れます。面白いですね。こんな感じ↓↓
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赤と黄色でオレンジ色ですが、より「にんじん色」に近づけようと思ったら、青みが入ったショッキングピンクと、白が入ったレモンイエローを足す感じなんですね。面白い。
 

人参はそもそも何色だった?

ちょっと話がそれました。では、なぜ土の中で育つ人参が、このような鮮やかな色になるのでしょうか?そもそも、人参の色は何色だったのか、それをひも解くために人参の歴史をさかのぼってみます。
 
人参は中央アジアの原産で、アフガニスタン周辺で東西に分岐したと言われます。中国に渡ったのが東洋種、ヨーロッパに渡ったのが西洋種。
 
中央アジアでは人参の色は紫色が多かったようです。今日本では黒人参ともいわれますが、紫色の人参には、ポリフェノールの一種アントシアニンが多く含まれます。このアントシアニンは、結合する糖により発色に影響があり、栽培する場所により「紫」、「白」、「黄色」と気候風土により様々な人参が生まれました。
 
 

人参=オレンジ色になるのは16世紀から 

紫、白、黄色と様々な色があった人参ですが、またそこから何世紀かの時が経ちます。
 
栽培するにあたり、見た目の綺麗な黄色い人参をもとに、より根が太く、より甘い人参を厳選してしきました。何回も何年も何十年も時間をかけて、選別栽培し品種改良していくうちにできたのが、今あるオレンジ色の人参なんです。
 
このオレンジ色の人参は、16世紀ごろオランダにて生まれたとされています。自然に生まれたものではなく、その色は人の手が入り、品種改良により作り上げられたものだったのです。

 

(つづく)
 

人参が人参になったわけ

おもしろ人参。無農薬わけあり人参です。

人参も、人間のようにいろいろな形があります。

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千葉県産の無農薬ジュース用人参をお届けします。

 

 

 

「人参」はどうして「人参」?

今回のテーマは、「人参」はどうして「人参」と名付けられたのか?です。人が参ると書いて人参。良く考えてみると、どんな意味があるのか不思議です。

 

実は…そもそも「人参」=「高麗人参

調べてみると、そもそも「人参」と名付けられたのは、今普通に食べている人参ではないらしい!?人参と名付けられたのは…高麗人参でした。

 

私は「高麗人参」には薬草のイメージがあります。知っているかと聞かれたら知っているけど、実物を見たことは…ないかも。知っているようで知らないことって、たくさんありますね。

 

高麗人参」ってどういう野菜でしょう?

いい機会なので、高麗人参とはどんなものか調べてみました。

Wikipediaには、オタネニンジンという名前で掲載されています。

オタネニンジン - Wikipedia

 

高麗人参(別名 朝鮮人参、オタネニンジン

ウコギ科の多年植物。

中国遼東半島から朝鮮半島が原産地。

 

根っこにはジンセノサイドという健康成分が含まれる。古くから薬効成分を用いられてきたものの、人工栽培は難しく、十分に大きく育つまで、なんと4年以上もかかるんだそう。

 

日本でも栽培され、ネットで検索すると50g1本で1200円で販売されていました。普通の人参は1本200gで50円くらいとすると…1本の値段は100倍近く!1本数万円するものもあるのだとか。

 

煎じて飲んだり、焼酎に漬けて飲む民間療法もあり、また多くの漢方にブレンドされている。その効能は、疲労回復、滋養強荘、病中病後の体力回復と、体の底力を上げてくれる効果が期待できる。

 

高麗人参は薬効が高いものの、栽培が難しいため、希少で高価なことがわかりました。

おっと、高麗人参について調べすぎちゃいました。なぜこの高麗人参が「人参」と名付けられるようになったのでしょうか。

 

どうして「高麗人参」は「人参」と名付けられたか

高麗人参の写真を見ると…なんとなく感じるものがあります。

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高麗人参(朝鮮人参、オタネニンジン)



高麗人参には、頭があり、手があり、足がある。そう、まさに人のような形をしているのです。だから人のようだとういうことで「人」。

 

そして「参」という字には、たくさん入り混じるという意味があり、ヒゲのような根がたくさんあることを表現していたようです。そう、高麗人参の見た目から、「人参」と名付けられました。

 

ではなぜ「人参」が「人参」になったか

高麗人参」は、室町時代から日本に輸入されていました。高麗人参の名前だったはずの「人参」が、今の「人参」に取って代わられたのは、江戸時代のこと。

 

高麗人参と同じように根っこの部分が肥大化する野菜のため、今の人参は、当初「セリニンジン」と呼ばれました。そのうちセリニンジンは一般的に使われるようになり、セリが取れて「ニンジン」と呼ばれるように。

 

一方、本家の高麗人参は、医学の西洋化に伴い使われる頻度が少なくなっていって…「人参」の座を奪われてしまったようです。

 

こうして、今の「人参」が「人参」となりました。

 

深掘りすると面白いものですね。人参のことをさらに知りたくなってきました。さて次回は、どんな人参の謎に迫りましょうか。人参の不思議はまだまだ続きます。

 

人参という漢字の読み方

これは今日届いた人参。

ジュース用なので、カット有、割れ有の人参です。

無農薬人参

https://eu-ki.jp/lp/ninjin.html


人参。その色といい、料理の中で放つ存在感といい、他の野菜にないものを持っています。その魅力に迫るこのブログ。今日はその名前の読み方についてまとめてみます。

 

人参の読み方

今、何も疑問を持たずに「にんじん」と読みますが、漢字だけをよーく見てみると…「にんじん」と読めるかな?

 

人という字は「にん」または「じん」。素直に「にん」と読むとして、参という次は「さん」または「ざん」と読むのが一般的。漢字だけを見ると「にんざん」「じんさん」などと読んでしまいそうです。「参」は「じん」と読むのか!?その読み方について調べてみると…

 

参 : サンまいる シンみつまじわる

 

があるそうです。実際は最初の二つの「サン」と「まいる」くらいしか使わないですね。名前に使われることもあるのかな。漢字にも色々な読み方があるんですね。

漢字辞典オンライン

 

人参の場合、上記のうち「しん」と読まれたということ。「にんしん」となり、連濁という現象により後に続く音が濁音となって「にんじん」と変化したと思われます。

 

ちなみに、他に「参」を「しん」と読む場合を調べてみると、古代中国で月や太陽の位置を示すために天球を区分した二十八宿というものがあり、そのうちの一つが「参(しん)」と呼ばれます。この星は和名で「からすきぼし」現代名では「オリオン座」にあたるそう。やっぱり珍しい読み方のようです。

 

普段何も考えずに通り過ぎることでも、立ち止まって眺めてみると、ちょっと面白いものですね。人参は「にんじん」と読まれるけれども、少し珍しい読み方だということがわかりました。

 

人参。どうしてそう名付けられたのか、次回はその意味に迫ります。