人参の色の不思議(その1)
人参は土の中で育ちます。まだ若い人参の葉はてんぷらなどにして食することもありますが、主に食しているのは、根のオレンジ部分。
人参の他、土の中で育つ「根菜」といえば、ジャガイモ、大根、カブ、ネギ。
根菜はどれも白っぽいものが多いですね。光も当たらないし、白っぽいのはなるほど、納得です。
では、なぜ人参は鮮やかなオレンジ色になるのでしょうか?不思議です。そこで、今日は人参の色の不思議に迫ります。
「にんじんいろ」という色
「人参 色」と調べてみると…なんと、人参色(にんじんいろ)という色を発見しました!これは初耳。
#F47A44というコードで、オレンジ色よりもやや濃い。赤みがかったオレンジ色。まさに人参と聞いてイメージをする「にんじんいろ」です。どちらかというと夏の人参よりは、冬の人参の色のイメージですね。
もし、今まさにキャンパスで人参を描きたいのに、この「にんじん色」がない!という方に朗報です。「にんじんいろ」を混ぜて作るには、絵の具や色鉛筆で「ショッキングピンク」と「レモンイエロー」を混ぜると作れます。面白いですね。こんな感じ↓↓
赤と黄色でオレンジ色ですが、より「にんじん色」に近づけようと思ったら、青みが入ったショッキングピンクと、白が入ったレモンイエローを足す感じなんですね。面白い。
人参はそもそも何色だった?
ちょっと話がそれました。では、なぜ土の中で育つ人参が、このような鮮やかな色になるのでしょうか?そもそも、人参の色は何色だったのか、それをひも解くために人参の歴史をさかのぼってみます。
中央アジアでは人参の色は紫色が多かったようです。今日本では黒人参ともいわれますが、紫色の人参には、ポリフェノールの一種アントシアニンが多く含まれます。このアントシアニンは、結合する糖により発色に影響があり、栽培する場所により「紫」、「白」、「黄色」と気候風土により様々な人参が生まれました。
人参=オレンジ色になるのは16世紀から
紫、白、黄色と様々な色があった人参ですが、またそこから何世紀かの時が経ちます。
栽培するにあたり、見た目の綺麗な黄色い人参をもとに、より根が太く、より甘い人参を厳選してしきました。何回も何年も何十年も時間をかけて、選別栽培し品種改良していくうちにできたのが、今あるオレンジ色の人参なんです。
このオレンジ色の人参は、16世紀ごろオランダにて生まれたとされています。自然に生まれたものではなく、その色は人の手が入り、品種改良により作り上げられたものだったのです。
(つづく)